犬の認知症の兆候
犬の平均寿命はここ30年で倍近く延びていて認知症を発症する犬も増え始めています。
獣医行動診療科認定医の小澤真希子獣医師の調査では、14歳以上の犬の約15%に、認知症の兆候がみられるという結果が出ています。
実は、7歳前後から脳の老化は認知症状が現れるずっと前から始まっているとも言われているんです。
さらに、中高齢犬の5頭に1頭以上※が悩むことになるとも言われています。
※VOL.44(2019年発行)AKTIVAIT®のPRより
認知症になりやすい犬種
ひと昔前は和犬のほうが認知症になりやすいと考えられていました。その理由は、日本では和食の残り物や魚を犬に食べさせていてドッグフードに切り替わる中で肉主体になってしまったからでした。また、昔の調査当時のデータに柴犬が多かったり、人気犬種だったり、当時の血統で認知症の傾向があった可能性があり最近の調査では柴犬と他犬種の認知症のなりやすさでは、差はなかったということです。
そもそも犬の認知症の原因は
いまのところ加齢による脳の萎縮・変性が原因と考えられていて人の認知症のように、特定の物質が脳内にたまることが原因ではないと考えられています。ですが認知症を認知機能の低下と広く捉えればいろいろなパターンがあります。
脳腫瘍で認知機能低下が起こったり、ホルモンの病気で認知症に似た症状が出ることもあるので、動物病院での診断はどこまでの範囲を認知症と捉えるかで変わってくることもありそうです。
原因が加齢によるものになるため、長生きすればするほど、発症する可能性があります。飼い主が愛犬のためにできることは、発症を遅らせる、つまり予防するということです。
犬の認知症を予防するには
・脳の健康によい食品を摂取する
・散歩、運動をする
・良質な睡眠を整える
・脳トレをする
・新しいことに挑戦する
・刺激のある生活をする
などが挙げられます。
朝の散歩は良質な睡眠に必須
朝日を浴びてから14〜16時間後に脳内ホルモン「メラトニン」が分泌され寝る準備をします。シニア犬の体内時計を整えるために朝の散歩は必ず行きましょう。そして、夜は部屋を暗くし愛犬のために寝る準備をしてあげることが大切です。
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)などの脳の健康によい食品を摂取
オメガ3脂肪酸は
・青魚、サバ、サンマなどの魚
・アマニ油、えごま油、魚油、しそ油などの植物油
などに含まれています。ただし、酸化したものを与えると逆効果なので新鮮なものをあげてください。心配な方は
動物病院専売サプリメントなどで補いましょう。
オメガ3脂肪酸の与え方は、オイルコーティングなしのドッグフードにアマニ油やえごま油を朝ごはんに愛犬の体重に合わせて数滴添加します。あげすぎると下痢をしたりするので、最初は1-2滴から様子をみるといいと思います。
脳トレをする
脳トレは犬にも必要です。犬に考えさせる時間を作ってあげましょう。「もう年だから、お手しないんですよ」という飼い主さんの声をチラホラ聞いたりします。でも実はこれ、犬が忘れたのではなく飼い主さんがしなくなっただけなんです。いままでできていたことを再度行ってみると意外と忘れていないことに気が付きます。
新しいことに挑戦する
また、新しいコマンドを覚えさせたり新しいことに挑戦させることは大切です。犬は何歳になっても新しいことを覚えます。
ぜひ、挑戦してみてください。
刺激のある生活をする
1日中家でお留守番をしている子などは
特に刺激のある生活をするように心がけましょう
・週末にいつもと違う公園へでかける
・旅行にでかける
・仲良しの犬友達と触れ合う
など、愛犬の心に良い刺激を与えることで、脳内で分泌される幸せホルモンオキシトシンが分泌されます。
愛犬との絆が深まるだけでなく、脳を平常にし疲れを癒したり気持ちの安定にもつながります。
認知症を予防するためには
・若い頃から対策をおこなう
・年だからと諦めない
そして、いまできることを無理せず楽しみながら予防していくことが大切です。
もし、愛犬が認知症にかかってしまっても、それは、加齢による脳の萎縮・変性が原因です。
長生きしている証なので、悲観せず、愛犬を褒めてあげてください。そして、飼い主さんも自分自身を褒めましょう。