人工心肺装置を使った大手術。約6時間の手術に耐えた小さな命、チワワのプータ物語

ぐらんわん!世代になると様々な病気を経験していくと思います。今回は、「薬で治療か手術をするか」について、考えましょう。

昨年の夏、プータの心音に異変を感じました。我が家には3匹いるので、明らかに違うザーンザーンという音。離れてても聞こえるくらいでした。不安になり、かかりつけの病院へ。検査結果は「僧帽弁閉鎖不全症」。心臓の弁が変性し血液が逆流する病気でした。さらに、急性の腱策断裂がわかりこの子の命、1年生きられる確率は僅か20%。できることなら「誤診」であってほしい…。そして、かかりつけの病院長から大きな選択を迫られました。薬で治療するか、手術するか…。

「プータはまだ7歳だろ? まだ半分しか生きてないじゃないか。このまま薬で進行を遅らせたとしてもプータの場合は長くはない。いずれ近い将来プータはもっと苦しむことになる。ご飯も食べれなくなるし走るのはもちろん動くのも苦痛になる。他の子と比べてはいけないよ。普通の子はゆっくり進行していくけどプータの場合は一気にきちゃったんだ。そしてその速度についていけない他の臓器に急激に負担がかかってくる。近いうちに肺水腫になる恐れもあるよ。」

このひと言で、出した結論は「大学病院での手術」。悩んだ末、インターネットで調べた病院で診て貰おうかと考えていることを正直に話しました。かかりつけの病院長は、そんな私の気持ちを察してくれたのか、その手術を専門にやっている日本で一番腕の良い先生を紹介してくれました。張り詰めていた私の心が一気にあふれ、院長の前で泣いてしまいました。診察台の上に乗ってるプータに、「大丈夫!ぜ〜ったいに大丈夫だよ!よかったなぁ。いいお母さんで…」。院長が優しく良い子良い子しながら話し掛けると、プータの目から涙がポロリと落ち、私を不安そうに見ながらまた涙がポロリと流れました。

プータをたすけたい……。

手術の日がやってきました。術後、ちゃんと息をしてくれるのだろうか…。合併症も考えられ、100%治るとは言い切れない難しいものでした。人工心肺装置を使って、一度プータの心臓を止める大手術。病名が分かってから約2ヶ月後、6時間あまりの腱策修復手術を経て、プータは無事に生還しました。

プータ・・・生きててくれてありがとう。

術後は酸素室に入り、貧血気味の時は輸血をしたりと安静が必要でした。約2週間入院し、半年経った今、なんだか若返ったかのように前より元気になりました(笑)手術を選択してよかった…。


心臓病=お薬。これが今の世間では当たり前のようになってると思いますが、こういう選択もあるということを同じように悩んでいる方に知って欲しいと思いました。もちろん手術できる先生は限られますし、経済的にも大きな負担がかかります。もうすぐ8歳になるわが子。今、この子の心臓の音は私にとって幸せの音にかわりました。そして、プータに今の倍の年まで生きて欲しいなーと思ってます♪

Vol.3(2009年4月号)に掲載。情報はすべて当時のものです。

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