保護犬と高齢者のマッチングを目指して|赤坂サカス里親会

犬猫を飼いたいのに飼えない高齢者

60 代・70 代のペットを新たに飼育したい意向のある⽅は全国に約282万⼈いるとされ、「飼いたいのに迎えられない」というギャップが社会課題となっています。今回は、東京山王ライオンズクラブ主催のいぬねこ里親会を取材し「⾼齢者がペットと暮らすための課題」について⾥親会の取材を通して「保護⽝と⾼齢者のマッチング状況」や問題点などを伝えます。

高齢者と保護犬猫のマッチングのプラットホーム

JR東日本の現役職員で埼京線の運転士などをしていた飯塚 秀幸さんは、JR東日本史上初めて副業で起業を認められた社員。愛犬ポメラニアンのそらくんと散歩中に、ある高齢者がそらくんに会えることを毎日心待ちにしていたそう。その理由を聞くと、「もう自分が高齢だから責任を持って飼うことができない」というものでした。

高齢者がペットを飼えなくなる理由として、年齢、病気、施設への入所、急死・孤独死などが挙げられそれによりペットが道連れになるケースも。「飼いたいのに迎えられない」という高齢者の思いを形にしたサービスが「ANIMANECT」でした。

サービス内容をひとことで言うと「高齢者のペット終生飼育サポート」。連携する保護団体と飼育希望の高齢者をマッチングするサービスです。サービスを利用する際は、IoTによる高齢者の見守りサービスや提携動物病院での定期的な受診を行い飼育状況を確認するというもの。

保護犬の譲渡会・里親会を社会貢献としてTBSホールディングスもサポート

東京山王ライオンズクラブが赤坂サカス広場で3年前に開催し、今回で3回目を迎えた「いぬねこ里親会」。元アナウンサーで現在、CSR推進室 室長の秋沢 淳子さんにお話を伺いました。

TBSの地元の港区を盛り上げる仲間と社会貢献を行うにあたり、サカス広場の提供で実現するためイベント開催を決断しました。港区という土地柄的に犬猫を飼っている人もいるのでサカス広場で譲渡会を行うことは、比較的ニーズが高く、責任をもって飼ってくれる人も多いと思います。

わたしたちはテレビ局という立場から犬猫を取り巻く環境について、取材を通して現状を聞いていますし、伝える立場でもあります。ペット先進国との1番の違いは、日本は個体販売が自由であること。ペットショップで犬猫を買う人の飼育能力、環境、目的を把握すべきだと思います。保護犬や保護猫が一刻もいなくなる社会になるよう、みんなに家庭を見つけるお手伝いができたらいいなと思っています。

高齢者が犬猫を飼うことについては、人生100年時代。犬猫が家にいることのメリットの方が大きいと思います。これまでは60歳以上は飼えない、独居は飼えないケースがほとんどでした。でも、みんなでサポートすることで、飼える環境を整えられるはずです。いま家がない犬猫の数と飼いたいと思う高齢者の数は吸収できる。柔軟な対応とサポート体制でコミュニティを作っていけば、犬猫も人も幸せが実現します。

犬猫保護団体の高齢者に対する譲渡条件は?

今回、いぬねこ里親会に参加した保護団体には、犬猫が保護されるた理由と、高齢者でも里親になれる条件を伺いました。実際に話を伺うと、年齢制限をしている団体はなく、むしろ、高齢者とプレシニア期の犬猫のマッチングを推しており、万が一飼育が困難になった場合は、相談窓口や里帰り制度を設けている団体ばかりでした。

はーとinはーとZR

・60歳なら譲渡犬の年齢範囲なし

・70代は8歳以上の犬の譲渡が可能

・公式LINEで譲渡後も相談可能、犬の生涯サポート可能

にゃいるどハート

・高齢者は自分の時間がたくさんあるので、むしろ大歓迎

・保護犬と過ごすことを生き甲斐にし過保護犬に

・譲渡後も相談、サポート可能

□ペットライフサポートカンパニー保護犬部

・高齢者の年齢制限は特にしていない

・飼育困難になった場合は、団体に里帰りできる

今回、取材を通して高齢者が里親になれないのではないか、という時代は変化しつつあることがわかりました。飼育困難になり動物愛護センターや保護団体に引き取られる犬猫の保護理由は「いろいろな理由での高齢者による放棄」ですが、社会が横につながり犬も人もサポートすることで、その問題は解消できるはずです。ただひとつ言えるのは、人が元気でなくては犬を飼えないということ。

犬も人も介護ゼロを目指して、たくさんの過保護犬が増える社会づくりを目指したいですね。