老老介護や高齢者と高齢犬の飼育困難などが社会問題となりつついま、シニア犬フリーマガジンの「ぐらんわん!」編集部では、カフェスタイルで保護犬や保護猫と触れ合えるNPO法人を取材しました。
この子かわいいですよね。
編集部(以下、編):今、こちらの施設にいるわんちゃんたちは何歳くらいの子が多いですか?
センター長(以下、空欄):今ここにいるのが今10歳、12歳、14歳、12歳
編:この子たちはどういった理由でこちらにやってきたんでしょうか。
覚えてないですね。
編:それくらい多いってことですね。
ほぼ高齢者の飼育放棄だと思いますよ。
編:みんな人懐っこいですよね。
まあ、そもそも一般家庭で飼われていた子たちなので、基本、人には慣れてますけどね。
スタッフ:白いのも高齢者(飼育放棄)
ほぼ高齢者じゃろ?
スタッフ:この3頭は今(里親)募集中
全体的に高齢者なんですけども、3匹は里親募集中です
編:普段、休日はカフェ保護犬カフェみたいな感じになってると思うんですけど、どんな形で利用できるんでしょうか?
あのカフェではなくて、カフェのような形で保護犬、保護猫の里親さんを探している動物愛護施設と認識してもらうと特に営業許可をもらって、飲食の営業しているわけではないので、じゃあなんでこんな形にしたかっていうと動物愛護施設って入りにくいんですよ。何か動物愛護施設みたいな感じで、だから気安く入ってもらう感じで、一応、保護犬、保護猫カフェという名前はつけているんですけれども、実際全然カフェじゃないので、触れ合って来てもらって、そこに冷蔵庫があるので、それを1本取っていただいて、気持ち募金箱にお金をいただいて、それでここで一応45分で時間を区切っているんですけど、45分の間にいろいろ触れ合ってもらうみたいな。そこで気になる子がいれば、個別でお声がけしてもらって、トライアルなり、そのまま譲渡という話をさせてもらうってことですよね。
編:例えば、引き取り目的ではなくて触れ合いたいだけの場合は?
それも結構2〜3割いらっしゃいますよ。でもそれは全然問題ないんですね。ただ、小さいお子さんの場合は、6歳以下のお子さんの場合はちょっといろんな条件つきで、だからお母さんがしっかりみていてもらえるのであれば入ってもらうんですけれども、そうでなければちょっとお断りしているんですよ。怪我をされたりね、
かまれたりってことがあるので。
編:広島の本部はカフェスタイルですか?
そんなカフェというスタイルでは全くやっていないので、ただの動物愛護施設ですね。
編:この活動を始められたのって?
もう20年ぐらい前ですかね。はじめは広島で始めて。
編:東京に進出されたのはいつ頃?
5年ぐらい前です
編:広島と東京を今行き来されている?
2週間交代で行ったり来たりしています。保護施設も老犬だらけですよね。
なかなか里親さんが決まらないので。
編:どんな引き取り依頼が多いですか?
引き取り依頼もほぼ高齢者の飼育放棄ですよ
編:具体的にはどんなことがありました?
施設に入るとかそういう飼い主がまず亡くなった、後は、飼い主さんが認知症になって施設に入ることになった。
認知症ではないけど、施設に入ることになった。自分で適正飼育ができなくなるだとか、そんなことですよね。
編:例えば、その高齢者の方の家族とかは飼ってあげようっていう話にはならなかったんでしょうか?
ならなかったからうちに入ってくるんでしょうね。ただなる方も多分たくさんいると思うんですよ。でもそうでないパターンも多いですからね。
高齢者の方が高齢犬を手放すケースが多いというのは、もう家で保護する犬猫のほぼ8割ですね、8割9割がもう高齢者の飼育放棄ですよね。
編:逆に引き取り依頼に関してですけど・・・。
家族の方から依頼があって行く場合と、本人からその依頼があって行く場合といろいろなパターンがあるんですけれども。
編:本人立ち会いのもと引き取られる場合も?
その場合もあるし、もう本人が亡くなられて家族の方が当分実家に帰っていなくて家にいったら、(高齢者が)亡くなったっと知らせを受け家に行ったら猫がたくさん飼われているとか、犬がつながれて飼われていたとか、あとひどいのは孤独死で亡くなって警察から連絡があって初めておうちに行ったら猫がすごい数いたとか、あと犬がすごい数といったケースもあるので。
あとは家族の人がもうお父さん、お母さんが亡くなったのでってことで、直接うちの施設にわんちゃんネコちゃんを連れてくる。
編:その場合、説得されたりするんですか?
もちろんいろんな問い合わせあるんですけど、すぐに「はいどうぞ」って受けるわけじゃない。なんとか飼うことはできないんですかとか、家族でもう1回探して飼う努力をされてみたらどうですか。いろいろ話はするんですね。それでもやっぱり難しいってことで保護するんですよ 初めはやっぱりね飼う方向で頑張ってくださいということで終生飼養の努力義務っていうのがあるので、最後までもちろん飼わないといけない。もちろん努力をしないとね。お父さんお母さんが飼ってた犬猫は息子さんたちの財産で、今度は息子さんたちのものになるので、今度は息子さんたちが責任を持って都合のいいものは相続する犬猫は相続しないってことはだめなので、犬猫も相続しないといけないので、今度はその息子さんたちの犬猫になるので、何とか飼う方向で頑張らないといけないでしょうね。だからそれはもちろん話します。でもやっぱり無理だってことで保護する。
編:逆に引き取り手に関してですけど高齢犬の引き取り希望はありますか?
全体の1割2割ですよね。10歳以上の子はほぼ里親さんに決まらないのでほぼうちで亡くなるケースが多い。
編:保護施設はこのほかにもありますか?
うちは東京と広島に2カ所はあるんですけれども、やはり東京の方が人口が多いのと犬に対する理解が高いのか、何かわからないですけど、東京の方が高齢の犬猫の里親は決まります。広島はほぼ決まらないんですよ。たまたまかもわからないですけど、ここの東京支部は、2〜3カ月に1匹、2匹は高齢の子出ていくんですよ。
ただ広島はほぼ決まりません。もう若い子ばかり。
編:高齢の犬猫を引き取りたいっていう人は?
年代っていうのは大体もう余裕のある方、だいたい40〜50代の方が多いですね。
子供の手が離れて自身に時間の余裕があるお金の余裕がある。高齢犬を飼うのはデメリットだらけなので手間はかかる、お金はかかる、すぐお別れが来るかもわからない。だから、どうしても自分の心に余裕がなければ飼えないですから、お金もかかるのでね。
となると、やっぱり多いのは40代、50代、60代ぐらいの方が多いですね。
編:逆に高齢者の方で引き取りたいっていう依頼とかってあります?
もちろんありますよ。
編:そういう方たちはどんなわんちゃん欲しがりますか?
だいたい若い子、若い子が欲しい
編:病気をしていない若い子を欲しがる?そういった場合は譲渡はされたりするんですか?
それはあれも犬次第なんですよ。うちは年齢でくくってないので。
世の中では簡単に言うと、健康年齢って75歳じゃないですか。75歳を超えるともちろん何歳になっても元気な方はいらっしゃいますし、若い人でも病弱な方はいるんですけど、それを言うとも切りがないので、あくまでも平均値、平均的に75歳を超えてくると何らかしら自分がちょっと体調が何か不具合が発生したり、病気になったりという確率がどんどん高くなってくるので、だから75歳になるまでに自分がそのわんちゃんを看取ることができない年齢であれば家では譲渡してないんですよ。だから例えば10歳のわんちゃんがいたとして、この子の平均寿命が15歳のわんちゃんであればともう5年生きますよね。うちは75歳、人間の年齢を75歳にしているので、70歳ぐらいの方であれば、平均寿命が15歳の子で10歳のわんちゃんであれば、その方に経済的余裕があったり、一応何かあった時に受け入れ先があったり、あと飼育経験がある方であれば、70歳の方にでも譲渡はしてます。
ぐらんわん!では、2021年に高齢者とペットが楽しく暮らすためにというテーマで、インターペットの特設ステージでプレゼンテーションをさせていただきました 編集部で行ったアンケートによると、ペットと生涯暮らしたいという人は半数以上、そして自分が高齢になった時、パピーから迎えたいとした人よりも、成犬や老犬の保護犬を迎えたいとした人が70%を超えました。
日本人の健康寿命から犬の平均寿命を引いて単純に数字だけを見て逆算すると、人が健康的に生活できる期間中にパピーから飼育できるタイムリミットの目安が出てきます。
男性は57歳 女性は60歳
人の健康状態や犬種や大きさによってバラつきはあるので、一概には言えませんが一つの目安として考えていただけると幸いです。
高齢者にとってペットがもたらす健康効果も報告されています 高齢者と犬が楽しく暮らすためにどうしたらいいかこれからも課題となっていくと思います。
編:マイクロバスがありますが、こちらはどんなバスなんでしょうか
これは譲渡会用ではなくて、うちは施設があるので、特に譲渡会とかはしなくて大丈夫なので、結局もう僕はこの活動を何年もやっているんですけれども、保護して里親さん探すっていう活動してるんですが、保護して里親さんを探しても探しても、次から次に飼育放棄される方が全然減らないので、だからもとを絶たなければ、もういつまでたってもこの活動は終わらない。無責任飼い主をなくすためにこれでストップしていこう。それを啓蒙啓発していこうってことで、これで色々あちこちへ出掛けているイベントの片隅とか、どこかビルの一角とか希望があればそういうとこに行ったり、こちらからそこでやらせてとお願いしたりこの中にいろいろテントとか、全部積んであるので、どんな展開でもできるんですね。
ここへテントを立てて柵を作って保護犬保護猫にも触れてもらうのも一つの機会なので、なぜこんな保護犬保護猫がいるんだろうってことで触れてもらって今度はビラを配って何で保護犬を保護猫がいるんだろう何で飼えなくなるんだろうという啓蒙啓発のパネルとか、あと飼う前にもう一度考えてというビラもたくさん作ったので、そういったのを町で配る為のバスなんですよ。だからこのバスを持っていって啓蒙啓発する場所を今、都内でも探しているので、私のビルの下でやってよとかこんなイベントがあるから、その片隅でやっていいよとがあれば是非、呼んでいただければどこでも僕が運転して駆けつけます。
この中にイベントの道具が詰まっています。ここに15頭くらい犬猫を入れてイベントに行ったりとか、広島に移動したり、いろいろやってます。
取材中も、引き取り依頼の電話が鳴り・・・中断することもしばしば。マイクロバスを使った啓蒙活動をお手伝いしてくれる方、絶賛募集中です!終生飼養の義務をひとりひとりが守れば飼育放棄の減少につながるはずです。
マイクロバスを使った啓蒙活動をお手伝いしてくれる方、募集中!
お問い合わせはNPO法人みなしご救援隊 犬猫譲渡センター まで
http://minashigo-joutocenter.com