介護ゼロプロジェクト林間学校うちの子を一番幸せにしたい!! 願いが詰まった２日間に密着

　うちの子のためにできること、うちの子のために学ぶこと。ぐらんわん！介護ゼロプロジェクトの一環として、ペットケアサービスレッツと協働で行っている「犬の介護ZERO教室」。一般の飼い主様向け講座が開講してから約2年が経ちました。

　犬の介護ゼロを目指すために必要な5講座を老犬介護を学んだインストラクター達が講師となって教えてくれます。うちの子のために興味のある講座だけでも、全て受講してもOK。そして、５講座終了後に受けられるテストに合格すると、ぐらんわん！から「うちの子介護マイスター」として認定証が授与されます。

　現在、「うちの子介護マイスター（以下、マイスター）」は約60名誕生（2020年11月現在）。せっかく認定されたのだから、これからもマイスター同士、インストラクターともつながっていたい。そんな声にお応えする形で、マイスター限定の特別講座「介護ゼロプロジェクト林間学校」がスタート。認定動物看護師でペットケアマネージャーの清水佐知子先生が、これまで学んだ知識をさらに深掘り。那須・板室温泉のホテルフォレストヒルズ那須内にあるシニア犬支援施設を使った、体験プログラムを2日間に渡り開催しました。

「介護ゼロプロジェクト林間学校」プログラム
◆１日目
13：00 集合 ホテルフォレストヒルズ那須本館で集合・チェックイン
13：30 講座 ① 各参加者から修了後のふりかえりをヒアリング＆コンサルテーション～那須高原イーノの森 DogGarden
14：30 講座② 歩行姿勢のチェック、歩行訓練、シニア犬お散歩のコツ。楽しくお散歩をしながら体を鍛える。～ドッグフィールドアスレチック
16：30 講座③ 食育 Q&A～板室温泉犬のリハビリセンター
18：00 懇親 夕食 清水先生を囲んでみなさんで楽しくお食事しながら知識の共有。ホテルフォレストヒルズ那須板室別邸 宿泊
 
◆２日目
7：00 あさんぽ ～高原の朝の空気を吸い込みリラクゼーションを。
8：00 朝食
10：00講座④ 天然温泉を使ったリハビリプログラム体験～板室温泉犬康の湯～
12：00 昼食 修了証お渡し
13：00 ネイチャーツアー
15：00 解散

今回、５組限定の特別講座に、編集部が密着取材！　清水先生がマイスターたちに伝えたいことをギュッと盛り込んだプログラムの一部をレポートします。

【1日目】
歩行姿勢のチェック、歩行訓練、シニア犬お散歩のコツ「楽しくお散歩をしながら体を鍛える」

　普段の散歩にも取り入れたいポイントが詰まっている「ドッグフィールドアスレチック」。歩き方や足の上げ方をチェックしながら、筋トレも加わります。

ホテルフォレストヒルズ那須板室別邸での「夕食懇親会」

夕食は、愛犬と一緒に席に着きます。那須高原野菜や地物の食材を使った和ブッフェや地酒の飲み比べ（期間限定）はここでしか味わえないと好評でした。愛犬メニューも充実しており、編集部隊は牛すじの煮込みを堪能！あっという間の完食（というよりおかわりの催促？）でした。

もちろん、新型コロナ対策もしっかりしており、安心安全に懇親会は終了。

【2日目】

高原の空気は美味しい！　「みんなであさんぽツアー」

２日目の朝。ホテルフォレストヒルズ那須森村総支配人自らが先導し、板室温泉のパワースポット「篭岩地蔵」へあさんぽツアー。幹線道路沿いにふと現れる小さな鳥居。急な階段を登った先には小さな石像が祀られていました。この石像は、乳がんが治癒したことへのお礼で左胸をあらわにした山の神の石像とも伝えられ、無病息災家内安全のお地蔵さまとして親しまれているとか。

参加犬がシニア犬ばかりということもあり、往復10分の予定が、約１時間かけてゆっくり参拝（笑）。参加者には、森村社長からオリジナルのお守りが渡されました。ママにもワンコにもご利益がありますように!!

天然温泉を使ったリハビリプログラム体験「板室温泉犬康の湯」

　今回のメインプログラム、ここでしか体験できない「杖いらずの湯」と親しまれる板室温泉を使った湯治場「犬康の湯」。なんでも腰が丸まったシニア犬たちが帰る頃にはシャキンと背筋が伸びているという評判。本誌でも度々紹介してきましたが、今回はその秘密を探るべく水中撮影に成功！　地上では足を這うように歩いていたのに、水中ではしっかり足を上げているのがわかりました。

さらに、普通のリハビリで使うトレッドミルとは違う点が、この天然温泉かけ流しなのです。
　湯温は、犬の体温と同じくらいの38度と人にはややぬるめ。泉質はアルカリ性低張性温泉で人間の効能は、『関節リウマチ』『神経痛』『軽症高血圧』『軽い高コレステロール血症』『胃腸機能の低下』などあり、同じ源泉を使用している贅沢な温泉なのです。

　レポートは、1歳のラサ・アプソ、ラザニアちゃんと参加した編集部員、福ちゃんが担当。福ちゃんは麻布大学動物応用科学科でヒトと動物の共生を学び、特にヒトと馬の親和関係に力を入れてきました。この「板室温泉犬康の湯」は、競走馬のリハビリ施設を参考にしていることもあり、以前から興味があったそうです。

　温泉が持つ効能を利用し、長期間かけて病気を治療する「湯治」は馬のリハビリでよく用いられています。馬は重い身体を4本の細い脚で支えています。そのため1本の脚に炎症が起こると、身体を支えようとした他の脚に大きな負担がかかることで炎症が出ます。そして、心臓のポンプを動かし血液を循環させるために必要な「歩く」ことができなくなるのです。

　そんな馬にとって湯治はリハビリの方法の1つにぴったりです。お湯の中だと浮力によって普通に歩くより関節や腱への負担が軽減されます。さらに温泉の効果で身体の芯から温まり、筋肉がほぐれるので身体も動きやすくなり、馬の歩行をサポートします。

　湯治は足腰が弱くなってきた・姿勢が悪くなってきたという悩みを持つ犬のエクササイズにもぴったりです。今回体験した子達も歩行場でパパ・ママと一緒に楽しそうに歩いてエクササイズしていました。歩行場の特徴は「傾斜」と「玉砂利」です。傾斜が付いていることで、水平地より水の負荷を感じやすいので足を上げて歩くことに繋がり、それによって関節の可動域も広くなります。また足腰の筋肉を強化するのにも役立ちます。

　玉砂利は足の裏を刺激し脳の活性化に繋がり、マッサージ効果もあります。私も歩きましたが、足つぼの様で結構痛かったです。私の犬は普段都会の学校で生活しているのでお散歩コースはほとんどコンクリートです。玉砂利を歩くことに最初は戸惑っていましたが、慣れたらゆっくり歩いてくれました。私も足の裏が痛かった様に、犬も初めての足裏の感覚にびっくりしたのかもしれません。

　傾斜を歩行した後は、温泉での半身浴。浸かりながら、飼い主が凝っているところを中心に、マッサージします。マッサージではじっくり浸かることで身体がポカポカ温まり、うとうとし始める子も…。温泉は皮膚炎にも良いとされているので、温泉に浸かりながらマッサージをすることで、心なしか艶々になった気もします。

　湯治場を利用する前と後で写真を撮り見比べましたが、「姿勢が良くなったかも」と感じるマイスターが多かった様です。玉砂利の効果で足裏が刺激されたことや、お湯の中を歩くことで関節の可動域が広がったことが姿勢が整うことに繋がったと思います。今回は1回の体験でしたが、継続して続けたらもっと効果が見られるかもしれません。同伴したラザニアは1歳になるパピーですが、シニア犬に混ざって湯治を体験しました。まだ若いから大丈夫ではなく、若いうちから身体のケアをすることはとても大切です。マッサージに慣れさせてあげたり、食事について学んだり、色々な場所を歩かせてあげることで将来の健康やケアのしやすさに繋がると考えています。パートナーが自分の脚でいつまでも元気に歩けるように是非、板室温泉での湯治を体験してみてくださいね。

文：高松福恵
麻布大学動物応用科学科でヒトと動物（イヌ、ネコ、ウマ）の共生、特にヒトとウマの親和関係について学ぶ。卒業後、ヒトとペットが日常生活を楽しくおくれるようサポートすることに興味を持ち、現在、専門学校ビジョナリーアーツペット学科在学中（2021年3月卒業予定）

昼食＆修了証のお渡し

昼食の後は、マイスター限定の特別講座「介護ゼロプロジェクト林間学校」修了証が手渡されました。

ネイチャーツアーで見えた清水先生の実力「女性ひとりでもできる大型犬の介助力」

　２日間、講師を務めた清水先生もご褒美タイム。愛犬ラブラドール・レトリーバーの芽衣ちゃん17歳と参加。地元那須の観光ガイドムーラビートの代表深澤さんの案内で森を散策します。季節の花や虫の声を聴き、水のせせらぎに心洗われながら、シニア犬たちとゆっくり土や枯葉を踏みしめる贅沢な散歩。

みんな思い思いに歩いている途中、カートに乗っていた芽衣ちゃんが、突如「わん！」と自己主張してくるのも無理はありません。久しぶりに芽衣ちゃんの声を聞いたという清水先生。「そうだよね〜。みんなと歩きたいよね」と、25キロはある芽衣ちゃんを軽々と持ち上げていました。細身の身体でもひとりで介助できるのは、介助技術だけではなくふたりの信頼関係、そして、なんと言っても芽衣ちゃんの関節が柔らかいこと！　清水先生の日頃のケアやマッサージ、ストレッチの賜物だと感心しました。