高齢者とペットが楽しく暮らすために

本記事は、ぐらんわん!VOL.51並びにインターペット2021特設ステージで発表されたコンテンツを元に掲載しています。

 このコロナ禍で、ペットの飼育率は上昇傾向にあります。特に、在宅ワークが増え、家にいる時間が長くなり初めてペットを飼い始めた人や、学校が休校になり子どもの兄弟・姉妹代わりとして若い世代の間でも初めて犬を飼ったという声も多く聞こえてきています。
 近年、15歳未満の子どもの人口が犬猫の数より少ないと言われはじめるようになり、ますます少子高齢化が進む日本。ペットの飼育率は米国の68%に比べ、国内の飼育世帯率は犬が12.6%と3分の1程度にとどまっています。世帯別にみると、5世帯に1世帯が犬猫のいずれかを飼育しています。中でも、50代の飼育率が一番高く、子育てがひと段落した世代が犬を家族として迎え入れる傾向にあります。本誌の読者層も45〜55歳の女性が最も多く、次いで55〜65歳の女性、35〜45歳の女性となっています。
 本誌では、読者を対象にアンケートを行いました。

「ペットの存在とは?」

・どんな時も笑顔をくれる宝物
・癒し癒される存在
・いてくれることで安心する
・自分が、がんばれる原動力に
・癒し、元気をくれる、元気でいなきゃなど欠かせない存在
・幸せな時間を共に過ごせる家族
・この世で1番大切、自分の命を かけて守る存在

などの意見があがり、ひとことでまとめると愛犬は「生きがい」につながる存在だとわかります。

 さらに、「何歳までペットと暮らしたいと思いますか?」という問いでは、半数が年齢に関係なく一生暮らしたいと回答しました。
「あなたが高齢になった時、新しくペットを迎えるなら?」という問いには、半数が自分が高齢にならないとわからないとし、パピーから迎えたいとした人よりも成犬や老犬の保護犬を迎えたいとした人が多く70%を超えました。
 日本人の健康寿命は、男性が72・14歳女性が74・79歳となっています。健康寿命とは、簡単に言うと、日常生活に制限のない期間のこと。犬の平均寿命は全体で14・48歳ですが、超小型になると15・19歳となり大きさや犬種によって差が出てきます。数字だけで逆算すると、人が健康的に生活できる期間中にパピーから飼育できるタイムリミットは、男性は57歳、女性は60歳。単純に言えば、人が健康であれば、この年齢を最後にパピーから飼い始めても高齢化を理由に飼育放棄などの問題が起こる可能性は低いと推察されます。とはいえ、犬も長寿化している上、人よりも急速に年を取り、自分たちを追い越して老化してしまうことを理解してあげなければなりません。
 近年、高齢者にとってペットがもたらす健康効果の研究が数多く発表されています。主な役割として5つ挙げられます。さらに、単純に飼育するよりも、よく世話をしている高齢者の方が長生きにつながるという結果も報告されているようです。


 本誌では、「犬も人も健康に ぐらんわん!介護ゼロプロジェクト」を提唱してきました。犬が高齢者に健康効果をもたらすには、犬も健康でいなければいけません。犬も人も健康にをテーマにした、一緒に楽しみながら健康効果を上げる方法をいくつかご紹介します。

動画でご紹介しているトレーニングは、ぐらんわん!10周年記念書籍「犬の介護をゼロにする7つの習慣」(KAIGAN books)にも掲載されています。ご興味のある方は、ぜひお手にとってみてください。

高齢者と犬が楽しく暮らすには

秘策①:どんなペットと暮らすか


 自分が高齢になったことを想像してみましょう。これまで飼育経験のないペットを高齢になって初めて飼ってみようという方は少ないのではないでしょうか。これから犬を飼う場合は、少し先の未来を想定して、大きさや犬種選びをすることが大切です。また、大型犬はひとりで介助できるかなどを想定してみましょう。

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秘策②:高齢者と暮らすことを想定したトレーニング


 これから5年後、10年後、飼い主が杖をついたり、車イスを利用したり歩行困難になる可能性は高齢者に限らず、誰にでも起こり得ます。それらを想定し、犬が杖を怖がらない練習、車イスと並走できる練習、不規則な動きに合わせて散歩することを練習しておきましょう。
 また、待て、お座りなどの基本的なしつけはもちろん、室内でも排泄ができることは犬がシニアになった時に役立ちます。それに加えて、人が好きであること、他の犬とも友好的であること、どこを触られても吠えない、かまないようにしておくことで、仮に誰かに預けることになっても迷惑がかからないようにでき、愛犬の将来の備えにもなるはずです。

秘策③:コミュニティを利用する


 自分が高齢になった時、もしもを考えて愛犬の面倒を引き継いでくれる後見人を探すことは不可欠。さらに、かかりつけの病院だけでなく、トレーナー、シッター、ペットホテルに預ける、トリマーなどのプロとの連携や関係づくりは非常に大事になってきます。そして、普段からお散歩で会う犬友、近隣とのコミュニケーション、SNSでの交流、馴染みのドッグカフェなどでネットワークを広げて助け合える環境づくりをすることなどを心がけましょう。

秘策④:体験をシェア(共有)する


 一緒に食べる、一緒に旅行、一緒に運動、一緒にお買い物など、共に体験できることを共有することで、愛犬との絆はより一層深まります。是非、これからも一緒に○○して楽しく過ごしましょう。

トレーニング監修:

参考 老犬介護スペシャリスト(清水先生)ドッグケアスマイル

参考 老犬介護スペシャリスト(菅原先生)dog nanny

参考 犬の理学療法士(石黒先生)Animal Reha Proportion

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