シニア犬に見られる老化のサイン、みなさんはいくつ見つけられますか?
毎日一緒にいるので、なかなか気がつきづらいこともあります。
シニア犬の見た目でわかる老化のサインとは?
・白髪が増える
・毛がパサパサしてきた
・毛が薄くなってきた
・皮膚がたるんできた、皮膚のハリがない
・イボができる
・目が白っぽく見える
・目ヤニが出る
・口が臭い
・歯が汚れている
・太ってきた
・痩せてきた
・立つ姿勢が悪くなった
・お尻が小さくなった
・背中が丸くなってきた
・お尻が下がる
・頭が下がる
などがあります。これらのシニア犬の老化のサインは、単なる老化現象で病気を伴わないものから、病気の症状が隠れている場合もあります。そして、気がついた時点でケアをすることで、老化を緩やかにできたり、改善できることがありますのでこれらのシニア犬の老化のサインを見逃さないようにしましょう。
シニア犬の老化のサインから疑う病気の症状
毛が薄くなってきた
疑われる病気:副腎皮質機能亢進症(通称:クッシング症候群)、甲状腺機能低下症など
腰回りの毛が左右対称に抜けてしまったら、副腎皮質機能亢進症(通称:クッシング症候群)という病気の可能性があります。この病気は、犬の副腎皮質が内分泌系ホルモンのコルチゾールを過剰に分泌する病気で脳下垂体や副腎に腫瘍ができることが原因だと言われています。コルチゾールが過剰に分泌されると、泌尿器系、循環器系、筋骨格系、神経系などほとんどの臓器が影響されるので治療が必要です。
お尻から尻尾の先の毛が抜ける、両耳の先が抜ける症状が見られる甲状腺機能低下症は、ホルモン性の疾患です。甲状腺機能低下症になると、基礎代謝量が減り皮膚の新陳代謝が悪くなるため、脱毛や皮膚がカサカサしたりします。他にも、元気がない、寝てばかり、寒がりになるなどシニア犬の老化現象と間違えやすく、単なる老化で済まされることも。また、表情が泣いているような哀しげな顔になることもあり、体重の増加や肥満などもよくある症状です。
イボができる
疑われる病気:脂肪腫など
シニア犬の老化現象によくある皮膚にできやすくなったイボやしこりは、良性の脂肪腫で深刻な病気ではありません。脂肪腫の場合は、触ると柔らかく、表面がツルツルしていて動かせるものがほとんどです。反対に、急激に大きくなったり、かたくて表面がボコボコし、周辺の組織に癒着して動かないイボは悪性の場合があります。いずれにしても、イボができたら動物病院に相談し良性か悪性かの判断をしてもらうことをオススメします。
目が白っぽく見える
疑われる病気:核硬化症、白内障など
目が白っぽくなる老化のサインの病気は大きく分けて2つあります。黒目の水晶体の中心部分が青白く見える場合は、核硬化症(かくこうかしょう)で、水晶体核の老化です。視力に影響はなく治療の必要もありません。一方、白内障は水晶体のタンパク質が白く濁る黒目全体が白っぽく見える病気です。原因は、遺伝的なものから後天的な要因(糖尿病や中毒など)で起こるものです。白内障は視力の低下が伴いますので、犬が見えづらそうにしていたりすることでも飼い主さんが気がつきやすい症状のひとつです。最近では、白内障の進行を抑制する治療や、眼科専門医などで人工レンズに置き換える外科治療ができますので、症状に気がついたら獣医師に相談しましょう。
口が臭い・歯が汚れている
疑われる病気:歯周病など
「最近うちの子、口臭がきつくてペロペロ舐められるのが嫌だわ」と、感じている飼い主さんはいませんか? もしかするとその口臭は歯周病のサインかもしれません。歯周病は口の中に食べかすが残っていることが原因で細菌が繁殖する症状です。最近では、犬の歯磨きを日常のケアとして取り入れている飼い主さんも多いですが、歯磨きが苦手なシニア犬は多くいます。苦手な場合は、食後に水を飲ませることでうがいのような効果がありますので、日々のルーティンとして取り入れてみましょう。
太ってきた/急激にお腹が膨らんできた
疑われる病気:肥満/副腎皮質機能亢進症(通称:クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、胃拡張、胃捻転、腫瘍、子宮蓄膿症など
単純に若い頃から肥満気味の場合は、シニア期以降は体重が重くて関節に負担がかかったり、心臓に負担がかかったりするためシニア期を迎える前に適正体重に戻すことをオススメします。
太ってきたというよりも、急激にお腹が膨らんできた場合、副腎皮質機能亢進症(通称:クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、胃拡張、胃捻転、腫瘍、子宮蓄膿症などの病気の可能性があります。胃拡張や胃捻転は苦しみを伴い、緊急性のある病気でもあるので日頃から体型チェックをしておきましょう。
痩せてきた
疑われる病気:糖尿病、膵炎、腎不全、心筋症、僧帽弁閉鎖不全症、腫瘍など
シニアになると、消化吸収能力が若い頃よりも低下して、栄養素をうまく体に吸収できなこともあります。しかし、食欲は旺盛なのに痩せてきている場合は、糖尿病、膵炎、腎不全、心筋症、僧帽弁閉鎖不全症、腫瘍などの病気を疑います。体格や体重の変化だけでなく、運動量も把握し日頃から食事の量と便の量に変化がないか観察しましょう。
背中が丸くなってきた
疑われる病気:椎間板ヘルニア、急性胃腸炎、気管支炎、肺炎、僧帽弁閉鎖不全症、心筋症など
年をとるにつれ徐々に姿勢が崩れてきている場合は筋力の低下などが疑われますが、気がつくと背中を丸めていたり、触ると痛がる場合は病気が隠れていることもあります。姿勢に関連する病気で多いのは、椎間板ヘルニア、急性胃腸炎、気管支炎、肺炎、僧帽弁閉鎖不全症、心筋症などが挙げられます。急性胃腸炎など、お腹が痛くて背中を丸めている場合は下痢などの他の症状が伴っていないか観察しましょう。椎間板ヘルニアは、触ると痛がったり、歩行中に突然「ギャン!」といつもと違う吠え方をして動かなくなったりします。その場合はすぐに動物病院に連れて行きましょう。
改善できるシニア犬の老化のサイン
犬の荷重率は、前足に70%、後ろ足に30%と言われています。歩いたり、走ったり、立つ時は前足に体重が乗っていて後ろ足はあまり使わないことが多いので、シニア犬の老化は、後ろ足から衰えることが多くなります。後ろ足の筋力が衰え始めると、背中が丸くなったり、お尻が下がって見えます。つまり、立ち姿が悪くなったようみ見えるのです。
後ろ足を使わなくなると、お尻の筋力も落ち始め、若い頃よりお尻が小さくなったように感じます。まずは、本来の正しい姿勢に戻してあげること、立ち姿勢を整えましょう。さらに関節炎などの疾患がなければ、筋力アップのトレーニングをして、老化のスピードを緩やかにし、体を鍛え直すことで、豊かな老後を送れるようになります。
シニア犬の見た目の老化のサインを見逃さないために、日々の観察と、気づきが大切です。
シニア犬の見た目の老化のサイン・老化現象を観察しようはYouTubeひらめちゃんねるでもご紹介しています。
紹介した症状やサインは一例です。また、症状には個体差がありますので、気になることがあれば必ず獣医師に相談しましょう。