犬の貧血

point

・症状は元気がない、呼吸が荒い、ふらつきなど

・原因には大きく分けて3つ(出血を引き起こす、血液が壊される、血液が作られる量が減少する)

・血液バンクがないため、輸血が必要になった時にどうするかなどを話し合っておく

 貧血とは血液が薄くなった状態をいい、症状には元気がない、呼吸が荒い、ふらつきがあるなどが挙げられます。貧血になる原因としては出血していて単純に血液が少なくなった場合、血液が何らかの原因により壊されている場合、血液が作られていないもしくは少ししか作られていない場合に分けられます。そのため、貧血の所見が得られた際にはどの原因による貧血なのかを判断し、その原因を引き起こす病気を探していくことになります。出血を引き起こす原因としては事故などによる外傷や腫瘍からによるものが良くみられ、血液が壊される原因としてはタマネギ中毒やマダニが媒介する原虫であるバベシアによるものなどがあります。血液が作られる量が減少する病気としては長期にわたる炎症、慢性腎臓病、骨髄に腫瘍が認められた場合、精巣腫瘍による雌性ホルモン過剰症などが挙げられます。


 貧血の治療は原因治療を行っていくことになりますが、重度の貧血は生命を脅かしますので、原因治療の前や治療中に輸血が行われることがあります。わんちゃんには人のように血液バンクがあるわけではないので、病院のわんちゃんからか飼い主さんの知り合いのわんちゃんから血液をもらうことになります。動物医療では血液を探すのは非常に大変なことや輸血が緊急的に必要になることが多いため、自分のわんちゃんの血液型を知っておくことや散歩仲間同士で輸血が必要になった時にどうするかなどを話し合っておくことは重要だと思います。

監修:福田卓也先生/獣医師
’04年麻布大学獣医学部卒業後、都内動物病院院長を経て、現在、西日暮里ペットクリニック院長。その傍ら、麻布大学専科研修医として腎泌尿器科、一般外科を学ぶ

症状や治療法は一例です。病気を診断するものではありません。自己診断せず、かかりつけの獣医師に相談しましょう。【vol.27(2015年4月)掲載】※情報は掲載当時のものです。