ジャーマンシェパードのダリアちゃん 12歳(取材当時)
point
・4歳で足腰の弱い遺伝的な要素が判明
・腫瘍の切除手術をすることで不安要素を取り払い愛犬のQOL向上を目指した
・若い頃の訓練で靴やハーネスなどの介護グッズを嫌がらず受け入れてくれた
ジャーマンシェパードのダリアは警察犬訓練所出身。飼い主である屋良さんが犬の訓練士になるために修行していた頃、担当犬となったのが1歳になったばかりのダリアでした。それから屋良さんが訓練士として独立するまでダリアのトレーニングとお世話をしてきたそうです。
独立した翌年ダリアが4歳の頃、訓練所の後輩から「ダリアが腰を痛めた」と連絡があり引き取ることを決意。その時、繁殖元の血統を調べた結果、足腰の弱い血統であったことが判明したのです。
2008年、ダリアが5歳のとき、突然、原因不明の急性貧血を起こしました。3日間の入院と同居犬からの輸血、1カ月の通院でなんとか持ち直し元気になりました。その後は平穏に元気に暮らしていましたが、2012年、無数の乳腺腫瘍ができていることが分かり、10歳手前で乳腺の片側全摘手術。病理検査では、幸いまだ臓器への転移はしていませんでしたが、もう片側にも数個のシコリがあり、さらに卵巣嚢腫まで見つかってしまいました。高齢で貧血体質であることを考慮し、期間を空けてもう一度手術をすることに。屋良さんは悩みましたが、いつ転移して苦しむことになるかと怯えながら過ごすよりも、不安要素は全部取り払ってゆっくりのんびり老後を過ごさせてあげたいと、手術を決意。2度目の乳腺片側全摘と卵巣全摘の手術は11歳を迎える前でした。
現在12歳。再発も無く元気いっぱいですが、年相応の白内障と歯肉炎があることと何より昨年末から一気に足腰が衰え生活がちょっと不自由になってきているのが心配の種とか。最近はお手製の歩行補助ハーネスを使ったり、車イスにも挑戦。後ろ足が弱ってきたのでケガの防止に靴を着用。警察犬の訓練を受けていたダリアは、慣れているので嫌がらず履いてくれるとか。
これからもとにかく穏やかにゆっくり笑顔でダリアの老後に寄り添っていきたいという屋良さん。〝手作りグッズもこれからどんどん増やして、介護ライフを良い意味で楽しんでいけたらな…子どもよりも今はダリア一筋かも…。〟とニッコリ微笑んだ笑顔が印象的でした。
後ろ足をどうしても引きずってしまい足の甲やまわりが傷だらけに。ケガの予防に市販の靴を着用。訓練所で履いていた経験から年をとっても嫌がらず重宝!
シェパードの体格は水泳選手のような逆三角形。他の犬種に比べお尻だけが極端に小さいので、市販のハーネスが合わず手作りで。ピンクのバンダナがgood!
乳腺腫瘍全摘後に圧迫包帯をしなければならなかったのですが、シェパードの体型ではどうしても包帯が後ろ足のつけ根に寄ってズレてしまい上手く固定ができない。そこで、子ども用の腹巻を二重にして、ズレないように胸にベルトを取り付けました
訓練を受けていたため、歩行は人の横にしっかりつくという習慣があるダリア。車イスを装着すると、タイヤが邪魔をして横について歩けない。ダリアは混乱しパニック状態になるため、慣れるまでは時間がかかりそう。どうしても慣れないのであれば、無理に車イスは使わない選択肢もあると飼い主さん
4歳で遺伝的に歩行に障害が起こるとあらかじめ覚悟していた飼い主さん。警察犬の訓練を受けていたこともありますが、靴やハーネスなど将来必要になる介護グッズに慣らしておくことは愛犬のQOL向上のために飼い主さんができることのひとつです。
Vol.27(2015年4月号)に掲載。情報はすべて当時のものです。